甦れ海の道
東日本大震災復興支援
北前船日本海文化交流事業
はじめに
今夏、北前船「みちのく丸」が、かつて文化交流と物流のメーンストリートだった日本海に白い帆を張り、ゆかりの寄港地を巡ります。東日本大震災から立ち上がり新たな未来を構築しようとする日本人に、一枚帆で荒波を越えた先人の知恵と気概を伝えて前に進む勇気を持ってもらいたいのです。先人のたどった海と向き合うことで、鎮魂の思いが参集者全員に宿り、自分たちの来し方行く末を真摯に見つめる機会にもなると信じています。
日本列島は南北に長い上に起伏も激しく、近代に陸上交通機関が発達するまで海路の方が圧倒的に有利でした。17世紀に大阪から北海道まで日本海を回る西回り航路が開かれてからは、北前船が日本の貿易の主役となり、各地の産物を買い付け、必要なところへ物資を運び、利益を得る商売は大きな市場を形成しました。北前船は技術や文化、政治、経済といったあらゆる分野の最新情報を各地にもたらします。海上交易が地域と人々の暮らしに豊かな恵みを与え続けてきたのです。船主や船頭のほか貿易に関わる人たちの活発な活動がその後の経済・貿易に強い日本人の原型をつくったといっても言い過ぎではありません。明治、大正期を最後に、北前船は海上交通から姿を消しましたが、その後日本は知恵と勇気を受け継ぎ、戦争や近代化の荒波を乗り越えることができました。2011年3月11日の東日本大震災は未曽有の被害と多くの尊い人命を奪いました。新たな日本を作らなければならない今こそ、私たちは北前船を甦らせて海から未来を切り開いてきた私たち祖先のDNAを呼び覚ましたいのです。未来へ立ち向かう日本人の気概をもう一度取り戻すために。
青森市の(財)みちのく北方漁船博物館が、北前船の中でも最大級の千石船を、匠の技を伝承する船大工の手で忠実に復元。「みちのく丸」として進水させたのは2005年10月でした。私たちはこの5年間、陸奥湾で帆を張った航行を重ね、シンプルながら理に適った江戸期の航海技術を数々発掘し身に付けてきました。本航海で初めて故郷の海、日本海を走ります。かつて北前船が錨を下ろした港々をめぐって帆を張り航行し、先人の卓越した技と先見性をアピールします。さらに各港で、北前船で形成された日本海交流の歴史を掘り起こし、港に集まっていただいた方々に海の持つ可能性や海を通じた出会いの素晴らしさを実感していただこうと思っています。東日本大震災の支援募金も各会場で進めて参ります。
北前船みちのく丸が、いよいよ皆さんのふるさとで白い帆を上げます。
北前船日本海文化交流実行委員会
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